新たな水産サプライチェーンの模索

フードテック

近代社会が始まる前の食料サイクルは、地産地消を基に形成されていた。

経済のグローバル化によりそのサイクルは世界規模のサイクルへと組み込まれ、大規模な生産・流通・小売・消費の枠組みの中で、新たな問題(安全性・人道問題・乱獲など)を発生させている。
そのような環境下、「もう一度小さく・新しいサイクル」で「食料の生産・流通・消費」を見直すタイミングではないだろうか。

満足に食べ物を摂取できない、慢性的な栄養不足に陥っている人口は全世界の約9%・7億人存在するが、世界の生産量で見れば足りている(国連食料農業機関2020)

現時点の食料問題は、適切な食料分配が行われないことにあり、分配の不均衡の主要因は、途上国から、(生産地で消費するよりも高く売れる)先進国への食料移動であると考えられている。今後、世界人口は2050年までに1.35倍・食料生産量は1.7倍必要になると試算されている(国連環境白書2015年)。

これら分配のミスマッチが続くと、食料価格はより高騰し、安心安全でない食料の生産や、途上国での人道問題、天然資源(魚介類等)の乱獲など、問題がより深刻さを増す懸念があると言える。

現状の課題認識

この環境下における我が国の問題は、生産効率(経済合理性)にあると考えられている。具体的には、食料自給率は(カロリーベース)は38%で多くの食料を輸入に頼っており、先進国の中で最低水準。食料生産(農業・漁業)従事者は、平成の30年間で就業人口は1/3[現在約150万人]・平均年齢は10歳増加している[現在約67歳](農林水産省2020年)。
つまり、国内生産よりも、海外からの輸入に頼ることが経済的であることを物語っている。

この課題には、食料自給率(国内生産)の向上による、農業・漁業従事者(以下、生産者)の収入増加(労働環境の改善、効率的な生産・流通方法の開発を含む)が解決策の糸口であると考えられており、様々な取り組みが行なわれている。

政策としては、農地活性化、フードロス対策、スマートの農業技術の開発・実証プロジェクトの推進などこの10年ほどで目覚ましい進展を見せている。
その上で、大企業(新規事業として)の農業/漁業分野への参入、先端技術の開発の推進(大学や研究機関)、ベンチャーによるAi・IoTに関連した事業化などが取り組まれている。

今回はその中で、漁業(水産)分野に興味のある企業が主幹となり、本課題への取り組みを検討したいことから、食料問題の中でもこの分野の生産・流通・卸・小売等のサプライチェーン全体に絞って検討を行いたい。
また、天然資源の乱獲に繋がらないことも重要であるため、完全人工養殖(海上・陸上を問わない)や天然資源や生態系への影響も考慮した取り組みとしたい。

本イベントに期待すること

本イベントでは、この社会課題に対して興味を持ち、スマート漁業/養殖・流通・サプライチェーン全体に関わる技術領域・ソリューション領域の事業化を達成・目指している方々との意見交換を行いたい。

具体的には、

  • 取り組みに参加したい大企業
  • 技術・ソリューションを提供したいベンチャーや研究機関
  • 当該課題・解決策関して知見のある有識者・事業者

と出会いたい。具体的な技術・ソリューションの提案でなくても、取り組みを促進するためのアイデア出しレベルでも構わない。また、下記3つのカテゴリーを想定しているが、全ての要素を解決する必要はなく(さらに細分化された要素の)内1つで良いし、問題や課題の捉え方自体を膨らませる(もっとこうしたほうが良い)などの提案も歓迎である。

ディスカッションしたい技術
ソリューション領域

①サプライチェーンに対する新たな価値提供・課題解決

  1. 生産者と消費者のつながり推進(欲しいものが相互に見つかる技術や、つながる仕組みづくり)
  2. 消費者ニーズに基づく商品開発サイクルの構築(欲しいものを開発してもらえる仕組みづくり)
  3. 食の安心安全(養殖生産物のトレーサビリティ技術や、これを取り巻く仕組みづくり)

②生産:より効率的な生産方法の開発

  1. 育成効率の向上技術(人工孵化・水槽の大型化・共食い防止技術などの確立・低コスト化)
  2. 個体に対する自動化技術(生育・病気状態などの把握、水揚げ・選別・出荷などの自動化)
  3. 天然資源/生態系に影響を与えない生産サイクル(食物連鎖)の実現技術・考え方

③流通:フードロスの低減方法の開発

  1. 必要数量の把握技術(在庫・売上・期限などの情報トラッキング)
  2. 輸送ロスを低減させるための技術要素(保存・配送技術、共同配送・分配機能の拡充)

連携方法

資本提携・資本提供(出資)

技術・ビジネスアイデアの移転(購入)

共同研究・開発(資金・他リソースの提供)

委託研究・開発(費用支出)

ニーズ提供協力企業

岩谷産業株式会社

関西電力株式会社